鋳物の機械加工における寸法指示のポイント
鋳物の機械加工では、設計段階での寸法指示や公差の与え方が、そのまま加工精度・コスト・納期に直結します。過剰に厳しい公差や曖昧な加工代指定は、加工費の増加や歩留まりの低下につながる一方、適切な指示があれば安定した品質と効率的な生産が可能です。
本記事では、設計者が押さえておくべき「鋳物の機械加工における寸法指示のポイント」について解説します。
鋳物の機械加工における寸法指示の3つのポイント
1.公差は目的(機能)に応じて最小限に止める
過度に厳しい公差は加工費や歩留まりを悪化させるため、寸法公差は「必要な機能を満たす最小限」に設定することが重要です。
例えば、嵌合部・シール面などのクリティカルな箇所のみ厳しい公差とし、非機能面は緩くする。設計図には「機能的に必要な寸法」にのみ幾何公差や形状公差を指定し、それ以外は目安寸法に留めるとコストダウンにつながります。
2.加工代を明確に指示する
鋳物は寸法ばらつきや表面状態が大きいため、切削で除去するべき「加工代」を図面に明記しておくと現場が判断しやすくなります。外形・孔・平面ごとに許容する加工代を入れることが重要です。
肉厚が薄い箇所や内部の狭いポケットは加工代を小さく、厚肉部は余裕を多めに取ることで、クラックや過度な歪みを避けつつ、最小限の切削で仕上げることができます。
3.面粗さ・面取り・Rは加工性と安全性を両立して指定する
鋳物表面は粗いため、接触部やシール部には明確な面粗さ指定が必要です。その際、面取りはバリ・怪我防止と組立性を考慮して最小限の寸法を指定するとコストを抑えることが可能です。
鋳物特有の角Rは、鋳造性を考え大きめのRを許容すると鋳造欠陥が減る一方、加工でRを作る場合の工具選定(工具Rの有無)も考慮することが重要です。
当社の中・大型サイズの鋳物加工
当社は、鋳物加工のなかでも特に中・大型サイズ(□300~2,500×5,000)の加工を得意としております。1967年の創業以来、50年以上にわたり中・大型鋳物加工に携わり、豊富な経験と高度な技術力を培ってまいりました。
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当社の中・大型サイズの鋳物 機械加工の事例
ロボットアーム(鋳鉄、100×190×1,000)
こちらは、FC材製ロボットアーム筐体(100×190×1,000)の加工事例です。
内部が空洞のためワークに変形が見られ、さらに加工基準の設定も難しい厳しい案件でしたが、座面を追加することで基準を確保し、精度を実現しました。
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鋳物の機械加工では、「必要最小限の公差」、「適切な加工代の指示」、「加工性と安全性を両立した面粗さ・R指定」の3点を押さえることで、品質とコストの両立が可能になります。
これらを設計段階で考慮することは、現場でのトラブル回避やスムーズな加工進行につながります。
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